デジタルデトックスは失敗続きでも大丈夫。小さな習慣で取り戻した、心穏やかな時間と温かい人間関係
いつも「ながらスマホ」。気づけば一日が終わっていませんか?
スマートフォンは便利なツールですが、私たちの生活時間を静かに奪っていくことがあります。朝起きてすぐ、家事の合間に、テレビを見ながら、あるいは寝る前。無意識のうちに手に取り、「ちょっとだけ」が気づけば長時間になっていた、という経験はどなたにもあるのではないでしょうか。
特に、子育てが一段落して少し時間に余裕ができたはずなのに、なぜか自分のための時間が取れない。昔からの友人との連絡はSNSが中心になり、たまに会っても目の前ではなくスマホの画面を見ている時間の方が長い。家族との食卓でも、それぞれがスマホを眺めている。そんな状況に、どこか寂しさや虚しさを感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そして、この状況を変えたいと思い、デジタルデトックスを試みたものの、「やっぱり続かなかった」と諦めてしまったご経験があるかもしれません。ストイックに頑張ろうとしたり、完璧を目指そうとしたりすると、かえって挫折しやすくなるものです。
ですが、ご安心ください。デジタルデトックスは、何もスマホを完全に手放すことだけではありません。今日からできる、ほんの小さな習慣から始めることで、あなたの時間を取り戻し、そして何よりも、人との温かい繋がりを実感できるようになります。
過去の失敗から学んだ、「完璧を目指さない」ということ
以前、私も一念発起して「夜9時以降はスマホを見ない」というルールを決めたことがあります。最初の数日は頑張れたのですが、すぐに「調べたいことができた」「友人からの返信が気になった」といった理由をつけて手に取り、結局元の木阿弥になってしまいました。「やっぱり私には無理なんだ」と、少しがっかりしたのを覚えています。
その経験から学んだのは、「いきなり大きな目標を立てると挫折しやすい」ということです。私たちの脳は、急激な変化を嫌います。特に、長年染み付いた習慣を変えるのは簡単なことではありません。
そこで次に試したのは、もっとずっとハードルの低いことでした。例えば、
- 食事中は必ずテーブルの上にスマホを置かない
- 寝室にはスマホを持ち込まない(充電はリビングなど別の場所で)
- 本当に必要な通知以外はオフにする
といった、ごくごく簡単なルールです。これなら「完璧に実行できた!」という小さな成功体験を積み重ねやすいと感じました。特に、食事中と就寝前のスマホをやめることは、私にとって大きな変化をもたらしました。
小さな一歩がもたらした、自分自身と周囲への変化
食事中にスマホを見なくなったことで、自然と家族との会話が増えました。テレビも消し、その日あったことや感じたことを話す時間が増えたのです。たわいもない話かもしれませんが、お互いの顔を見て、声を聞いて話す時間は、何ものにも代えがたい温かさがあります。娘が「そういえばね…」と話してくれる時間も増え、以前よりも家族との距離が縮まったように感じています。
また、寝室にスマホを持ち込まないようにしたことで、寝る前の時間にも変化が生まれました。ついダラダラとSNSを見てしまうことがなくなり、代わりに本を読んだり、軽いストレッチをしたり、今日一日の出来事を静かに振り返ったりする時間を持つことができるようになりました。そうすることで、頭の中が整理され、心穏やかに眠りにつけるようになったのです。
そして、最も大きな変化は、自分自身の心の余裕が生まれたことかもしれません。スマホを見ている時は、常に新しい情報や他人の状況が目に入ってきて、知らず知らずのうちに心がザワザワしていることがありました。通知に反応したり、他人の投稿と自分を比べてしまったり。
デジタルとの距離を少し置いたことで、そうした心の波立ちが穏やかになり、落ち着いて物事を考えたり、自分の内面に目を向けたりする時間が増えました。すると不思議なことに、周りの人に対しても、以前より穏やかに、そして優しく接することができるようになったと感じています。友人との会話も、以前のようにスマホの話題ばかりではなく、お互いの近況や気持ちを深く話し合える時間が増えました。それは、私自身に心の余裕が生まれたからこそできた変化だと思います。
無理なくデジタルデトックスを続けるためのヒント
デジタルデトックスは、一度に大きな変化を目指すのではなく、日々の生活の中に小さな習慣として溶け込ませることが大切です。もし以前失敗してしまったとしても、それはあなたが弱いからではなく、方法が合っていなかっただけかもしれません。
以下に、無理なく続けるためのヒントをいくつかご紹介します。
- 「〜しない」ではなく「〜をする」に変えてみる: 例:「スマホを見ない」ではなく「この時間は読書をする」「家族と話す時間にする」のように、置き換える行動を決める方が実践しやすくなります。
- 特定の時間帯や場所から始める: 例:朝食中、夕食後〇〇分間、お風呂の中、寝る1時間前など、ピンポイントでデジタルから離れる時間や場所を決めます。
- スマホ以外の「楽しい」を見つける: 読書、散歩、手芸、料理、音楽鑑賞など、あなたが心から楽しめることを見つけ、その時間を意図的に作ります。
- 家族や友人に話してみる: 自分がデジタルとの付き合い方を見直したいと思っていることを周囲に伝えると、理解や協力が得られやすくなることがあります。
- 完璧でなくても自分を責めない: うまくいかない日があっても落ち込む必要はありません。「今日は難しかったけど、また明日から小さな一歩を始めよう」と、気楽に考えることが継続の秘訣です。
まとめ:デジタルとの距離が、自分と人との距離を心地よくする
デジタルデトックスと聞くと、何かを我慢したり、不便になったりするように感じるかもしれません。しかし、それは本来、私たち自身の時間や心を情報過多な状態から解放し、本当に大切にしたいものに目を向けるためのものです。
デジタルとの距離を見直すことは、自分自身の心と向き合う時間を持つことにつながります。そして、心に余裕が生まれることで、一番身近な家族や友人との関係に、温かさと深みが戻ってくるのを実感できるはずです。
もし、あなたがかつてデジタルデトックスに失敗した経験があっても、あるいは「私には無理かも」と感じていても、大丈夫です。まずは、今日の食事中だけスマホをテーブルから離してみる、寝る前にスマホではなく本を手に取ってみる、といった小さな一歩から始めてみませんか。
その小さな一歩が、きっとあなたの毎日を、そしてあなたを取り巻く人間関係を、より豊かで温かいものに変えていくはずです。応援しています。