「元気?」の一言がLINEで終わらない。スマホを少し離したら、昔の友達との心が通い合うようになった話
メッセージアプリでの「元気?」、本当に心が通っていますか?
スマートフォンが普及し、連絡手段が多様になったことは、私たちの生活を便利にしてくれました。いつでもどこでもメッセージを送れるようになり、友人との距離が縮まったように感じている方も多いのではないでしょうか。しかしその一方で、「メッセージのやり取りは増えたけれど、なんだか心が満たされない」「表面的な繋がりばかりで、昔のような深い話ができる友人が減った」と感じることはありませんか。
特に50代のパート主婦の皆様の中には、日々の忙しさの中でスマホに触れる時間が増え、気づけば時間が過ぎていることに少しうんざりしながらも、人間関係の維持にスマホが欠かせないと感じていらっしゃる方もいるかもしれません。昔からの友人とはメッセージアプリで繋がっているけれど、直接会う機会は減り、簡単な近況報告で終わってしまう。そんな状況に、寂しさを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
かつて私もそうでした。メッセージアプリのグループでは常に誰かが何かを投稿し、それに「いいね」をつけたり、短いコメントを返したり。友人との繋がりを保っているつもりでしたが、どこか心が落ち着かず、疲れてしまうこともありました。「既読スルー」をしてしまった後の漠然とした不安や、すぐに返信しなければというプレッシャーに追われ、本来リラックスできるはずの時間が、かえってストレスになることもあったのです。昔のように、じっくり腰を据えて語り合ったり、声を聞いて安心したりする機会が減り、「これで良いのだろうか」と漠然とした疑問を感じていました。
完璧でなくていい。「少し」距離を置くことから始めたデジタルデトックス
そんな時、ふとデジタルデトックスという言葉を思い出しました。以前試したことはあったのですが、完全にスマホから離れるのは難しく、すぐに挫折してしまった経験があります。しかし、今回は「完璧にやめる」のではなく、「少しだけスマホとの距離を見直す」ことから始めてみよう、と考えたのです。
具体的に行ったのは、以下のような小さな工夫です。
- メッセージアプリの通知をオフにする: 全ての通知をオフにするのではなく、仕事や家族からの緊急連絡以外の通知を停止しました。「ピコン」という音に反応してすぐにアプリを開く習慣をなくすためです。
- スマホを置く「定位置」を作る: リビングの特定の場所にスマホを置くようにしました。以前は常にポケットやバッグに入れて持ち歩いていましたが、意識的に手元から離す時間を作りました。
- 夜寝る前1時間はスマホを見ない: 寝る前にベッドの中でスマホを見るのをやめました。代わりに、読書をしたり、一日の出来事を振り返ったりする時間にあてました。
- 週に一度、「スマホを持たずに外出」してみる: 近所の買い物や散歩など、短い時間でもスマホを持たずに外に出てみました。
これらは、以前の私が試みたような「数日間スマホ断ち」といった大がかりなものではありません。本当に小さな、無理のない一歩です。正直、最初のうちは「返信が遅れたらどうしよう」「何か重要な情報を見逃すのでは」という不安もありましたが、不思議と大きな問題は起こりませんでした。むしろ、すぐに反応できないことで、本当に必要な連絡とそうでないものを選別できるようになり、メッセージに振り回される感覚が減っていきました。
デジタルデトックスがもたらした、温かい人間関係の変化
このような小さなデジタルとの距離の見直しは、私の人間関係に思わぬ良い変化をもたらしてくれました。
まず、メッセージアプリに費やす時間が減ったことで、心の余裕が生まれました。常に誰かと繋がっているという緊張感から解放され、目の前のことに集中できるようになったのです。
そして、この心の余裕が、昔からの友人との関係をより豊かなものに変えるきっかけとなりました。メッセージのやり取りに疲れていた私は、思い切って昔の友人に電話をかけてみました。「元気?」という簡単な問いかけも、文字ではなく声で交わすと、不思議と温かみが伝わってきます。相手の声のトーンや間の取り方から、メッセージだけでは分からなかった細かな気持ちが伝わってきて、話が弾みました。
さらに、ある友人とは、メッセージの返信を待つのではなく、「〇曜日の午後、お茶でもどう?」と具体的に誘ってみることにしました。最初は少し勇気がいりましたが、実際に顔を合わせて話すと、デジタル画面越しでは伝わらなかったお互いの近況や悩みをじっくりと語り合うことができました。カフェで向かい合って話す時間は、メッセージの何十往復分よりも、ずっと深く、満たされるものだったのです。
また、スマホを見る時間が減ったことで、身近な家族との会話も増えました。食卓でスマホをいじる代わりに、その日の出来事を話し合ったり、冗談を言い合ったり。何気ない日常のコミュニケーションが、以前より温かく感じられるようになりました。
デジタルデトックスは、単にスマホを使わないということではなく、「自分の時間」や「目の前の大切な人との時間」を取り戻すことなのだと気づいたのです。そして、その取り戻した時間や心の余裕を使って、デジタルツールだけでは育みにくい、深い心の繋がりを育むことができるのだと実感しました。
無理なく、あなたらしいペースで。デジタルと心地よく付き合うヒント
かつてデジタルデトックスに失敗した経験がある方、完璧を目指す必要は全くありません。大切なのは、ご自身のペースで、心地よいと感じる範囲でデジタルとの距離を見直してみることです。
- 「やめる」ではなく「置き換える」: スマホを見る時間を、好きな音楽を聴く時間、家族と話す時間、友人に電話する時間、趣味の時間など、他の活動に置き換えてみましょう。
- 小さな目標から始める: 例えば「朝起きてすぐスマホを見ない」「食事中はスマホをテーブルに置かない」「寝る1時間前からは見ない」など、一つずつ小さな目標を設定します。
- 自分を責めない: うまくいかない日があっても大丈夫です。「また今日から始めよう」と、気負わずに再開することが大切です。失敗は、あなたに合った方法を見つけるためのステップだと考えましょう。
- 「本当に必要か」を問いかける: 通知が来たら、すぐに開く前に「これは今すぐ見る必要があるものか?」と自分に問いかけてみましょう。
デジタルツールは、私たちの生活を豊かにする素晴らしい道具です。しかし、それに振り回されるのではなく、自分がツールを「使う」側になることが大切です。
少しだけスマホとの距離を見直すことで、あなたの時間や心にゆとりが生まれ、かつての温かい友情や、身近な大切な人との関係が、きっと今よりもっと心地よく、深いものになるはずです。無理のない一歩から、始めてみませんか。