デジタル疲れでギスギスしていた心が、穏やかさを取り戻し人との関係が心地よくなった体験談
日々の暮らしの中で、いつの間にかスマートフォンを見る時間が増え、心にゆとりが持てなくなっていませんか。通知が気になり、目の前のことに集中できなかったり、ついイライラしてしまったり。そんな「デジタル疲れ」が、大切な人との関係に影を落としていると感じている方もいらっしゃるかもしれません。
かつて私もそうでした。パートから帰ると、疲れているはずなのにまずスマホを手に取り、あっという間に時間が過ぎていく。夕食の準備中も、テレビを見ている間も、つい画面に目をやってしまうのです。その結果、家族の話をうっかり聞き流してしまったり、些細なことで子どもに強くあたってしまったり。友人から連絡が来ても、すぐに返信できない自分に焦りを感じたり、逆に相手からの返信が遅いことに不満を持ったりすることもありました。
デジタル疲れがもたらしていた人間関係への影響
振り返ると、スマホに時間を取られ、心に余裕がなかった頃の私は、人との関わり方がどこか雑になっていたように思います。
例えば、友人とおしゃべりしていても、通知音が鳴るとそちらが気になってしまい、上の空になってしまうことがありました。もちろん、意図的に無視しているわけではないのですが、相手の話に集中しきれていないのが自分でも分かります。友人が話している最中にスマホを見てしまうのは、大変失礼な行為だと分かってはいるものの、その習慣から抜け出せなかったのです。
家族との時間も同様でした。食事中にスマホをテーブルに置いていると、無意識に手に取ってしまいます。夫や子どもが何か話しかけてくれても、「うんうん」と上の空で相槌を打つだけ。以前はもっと、今日の出来事や感じたことを話し合っていたはずなのに、いつの間にか形式的な会話になっていきました。そして、ふとした瞬間に感じていたのは、家族との間に少し距離ができてしまったのではないか、という寂しさでした。
また、スマホの情報過多によって、常に何かに追われているような焦燥感や、他人と自分を比べて落ち込むことも増え、心に余裕がなくなっていきました。その心の乱れが、ちょっとしたことでイライラする原因となり、家族や身近な人との関係にギスギスした雰囲気をもたらしていたように感じています。
デジタルデトックスが良いと聞き、一度試してみたこともありました。週末はスマホを触らない、と決めてみたのですが、結局すぐに気になって見てしまい、挫折。自分には無理なのか、と諦めかけていました。
無理なく始めた「デジタルとの心地よい距離の取り方」
そんな私が、少しずつデジタルとの付き合い方を変えられるようになったのは、「完璧に手放す」のではなく、「少しずつ距離を置く」ことから始めたからです。一度失敗した経験から、「〇〇しなければならない」と厳しくルールを決めるのではなく、まずは小さな一歩を踏み出すことにしました。
最初に行ったのは、通知の整理です。どうしても必要な連絡アプリ以外は、通知をオフにしました。これにより、一日中「ピコン」という音に振り回されることがなくなり、目の前のことに集中できる時間が増えました。
次に、食事中はテーブルにスマホを持ち込まない、というルールを家族で共有しました。最初は少し手持ち無沙汰な感じもありましたが、すぐに慣れ、自然と家族との会話が増えていきました。
さらに、寝る時間の1時間前からはスマホを見ないように心がけました。これは一番難しかったのですが、代わりに好きな本を読んだり、軽いストレッチをしたりする時間にあてました。これにより、睡眠の質が上がっただけでなく、一日を穏やかな気持ちで終えられるようになりました。
これらの変化は、どれも劇的なものではありません。しかし、これらの小さな習慣を続けるうちに、徐々に心に余裕が生まれていくのを感じ始めました。
デジタルとの距離が育んだ、温かい人間関係
心に余裕が生まれると、不思議と周囲に対する見え方が変わってきました。以前は、スマホを見ている間に「聞いているつもり」だった家族の話に、きちんと耳を傾けられるようになったのです。
食事中に子どもが学校であった面白い出来事を話してくれたとき、スマホに気を取られることなく、目を見て笑いながら話を聞くことができました。すると、子どもも嬉しそうに、さらに詳しく話してくれるのです。夫とも、仕事のこと、趣味のこと、将来のことなど、以前よりも深い話をゆっくりとできるようになりました。食卓が、情報交換の場から、心の通う温かい団らんの場へと戻ってきたように感じています。
友人との関係も変わりました。久しぶりに会った友人との時間では、スマホをバッグの中にしまい、目の前の友人との会話だけに集中しました。すると、以前はどこか焦りながら話していた自分が、リラックスして、友人の話に心から共感したり、自分の気持ちを丁寧に伝えたりできるようになっていました。友人からも、「今日はいっぱい話せたね」「なんだか温かい気持ちになったよ」と言ってもらえ、とても嬉しかったです。
デジタルから少し離れた時間で生まれた心の余裕は、自分自身にも良い変化をもたらしました。常に情報に触れている状態から解放されたことで、自分の内面と向き合う時間が増え、以前ほど些細なことでイライラしなくなりました。心穏やかでいられる時間が増えたことで、家族や友人に対しても優しく接することができるようになり、人間関係全体が心地よく温かいものへと変化していったのです。
もちろん、今でも「つい」スマホを見てしまうことはあります。でも、完璧を目指すのではなく、「今日はこれができたな」「明日はもう少し意識してみよう」と、自分を責めずに続けることが大切だと感じています。
デジタルデトックスは、単にスマホから離れることだけではなく、自分自身の心と向き合い、目の前にいる大切な人との時間を丁寧に過ごすためのきっかけになるのだと、この体験を通して学びました。
もし、あなたが「デジタル疲れ」を感じていたり、それが人間関係に影響しているかもしれないと感じているなら、ぜひ無理のない範囲で、小さな一歩から始めてみてください。きっと、穏やかな心と温かい人間関係を取り戻すことができるはずです。