関係が変わるデジタル断ち

『時間がない』と感じていた私が、スマホを少し離して見つけた、穏やかな時間と豊かな交流

Tags: デジタルデトックス, 人間関係, 時間管理, 習慣改善, 心の余裕, 50代

いつも「時間がない」と感じていませんか？

一日を振り返ったとき、「あれ？今日、何をしていたんだろう？」と感じることはございませんか。パートに家事に、やることがたくさんあるはずなのに、どうも時間が足りない。いつも何かに追われているような気持ちになる。

私は、かつて常にそんな漠然とした焦りを感じておりました。「時間がない」と口癖のようになっていたのです。ふと気づくと、手にはスマートフォン。ちょっと調べ物をしたり、友人からのメッセージに返信したり、SNSを眺めたりしているうちに、あっという間に時間が過ぎている。そんな毎日の繰り返しでした。

スマートフォンの便利さは計り知れませんが、同時に私たちの貴重な時間や、目の前の大切な人との関わりを奪ってしまうこともあるのかもしれません。かつてのように、友人と時間を気にせずゆっくりおしゃべりしたり、家族と何でもない話で笑い合ったりする時間が減ってしまった。そんな人間関係の希薄化に、寂しさを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

デジタルデトックスに興味はあるけれど、難しそう、一度試したけれど続かなかった、というお声も耳にします。私もそうでした。しかし、完璧を目指すのではなく、ほんの少しだけスマートフォンとの距離を見直してみたことで、驚くほど心に余裕が生まれ、人との温かい繋がりを取り戻すことができたのです。

この記事では、私がどのようにスマートフォンとの付き合い方を変え、失われていた時間と心の余裕を取り戻し、それがどのように人間関係を豊かにすることに繋がったのか、具体的な体験談をお話しさせていただきます。

スマートフォンに奪われていた「時間」と「心の余裕」

以前の私は、朝起きてすぐにスマートフォンを手に取り、夜寝る直前まで眺めている、という状態でした。パートが終わって帰宅すると、まずはスマートフォンのチェック。夕食の準備をしながらも通知が気になり、食後もついソファでスマートフォンを操作してしまう。

その結果、何が起きたかと言いますと、まず家事が滞るようになりました。「後でやろう」と思ったことがどんどん溜まっていくのです。そして、一番感じていたのは、家族との時間がおざなりになってしまったことでした。夕食中も夫や子供の話に上の空で、スマートフォンに届くメッセージやニュースが気になってしまう。子供が何か話しかけてきても、「うん、うん」と曖昧な返事をしてしまい、後で後悔することもありました。

また、友人からの連絡に対しても、すぐに返信できない自分に焦りを感じたり、他の人が楽しそうな投稿をしているのを見て、自分はもっと頑張らなければ、と落ち込んだりすることもありました。常に何かに追われているような感覚があり、心からリラックスできる時間がなかったのです。

「時間がない」と嘆いていましたが、冷静に考えてみると、一日のうちでスマートフォンに費やしていた時間は相当なものでした。その時間に、家事をしたり、家族と話をしたり、自分の好きなことに時間を使ったりできていれば、きっと「時間がない」と感じることはなかったはずです。私は、自分で自分の時間を、スマートフォンに捧げてしまっていたのだと気づきました。

失敗から学んだ「無理なく続ける」小さな一歩

過去に一度、スマートフォンの通知を全てオフにするというデジタルデトックスを試みたことがあります。しかし、数日で挫折してしまいました。通知が来ないと落ち着かず、結局自分で頻繁にチェックしてしまい、以前よりスマートフォンのことが気になってしまったのです。

この失敗から学んだのは、「完璧にデジタルを断つ」というのは、私には無理があるということでした。スマートフォンは生活の一部であり、便利さも享受したい。そこで考え方を変え、「完全にやめる」のではなく、「少しだけ距離を置く」こと、そして「無理なく続けられる小さな習慣」を作ることに焦点を当てることにしたのです。

私が実際に始めたのは、本当に些細なことでした。

これらは、どれも難しいことではありません。最初はもちろん、つい手に取ってしまったり、通知が気になったりすることもありました。しかし、「今日は夕食中だけでも置いてみよう」というように、その日できる範囲で良い、完璧でなくても良い、という気持ちで続けていきました。

これらの小さな習慣は、慣れてしまえば全く苦になりません。むしろ、スマートフォンから少し離れた時間があることの心地よさを感じるようになりました。

生まれた「時間」と「心の余裕」がもたらした豊かな交流

小さなデジタルデトックスの習慣を続けるうちに、私の日々に変化が現れ始めました。

まず、物理的に「時間」が生まれました。これまでスマートフォンを眺めていた時間に、家事を済ませたり、作りたかった料理に挑戦したりできるようになりました。部屋が片付いたり、食事の準備に余裕ができたりすると、心にもゆとりが生まれることを実感しました。

そして、この「心の余裕」こそが、人間関係に良い変化をもたらしたのです。

家族との変化 夕食中にスマートフォンを見なくなったことで、家族の顔を見て、しっかりと話を聞く時間が増えました。子供が学校であった出来事を嬉しそうに話す顔をじっくり見られるようになったり、夫と一日の出来事を共有したりする時間が増えたのです。以前は上の空で聞いていた話にも、きちんと相槌を打ち、質問を返せるようになりました。すると、家族も安心して話してくれるようになり、食卓での会話が弾むようになりました。当たり前のことですが、目の前の相手に集中できることの大切さを改めて感じました。

友人との変化 スマートフォンの通知に振り回されなくなり、心に余裕ができたことで、友人との繋がり方にも変化がありました。以前はLINEでのメッセージのやり取りで済ませてしまうことが多かったのですが、「たまには声が聞きたいな」と感じ、自分から電話をかけてみるようになりました。また、「今度お茶でも」というメッセージのやり取りで終わらせずに、具体的な日程を提案してみたり、自分から会う約束を取り付けたりする行動力が生まれたのです。

実際に友人と会った時も、スマートフォンを気にせず、相手の目を見てじっくり話を聞けるようになりました。すると、一方的に話すのではなく、お互いの近況を語り合い、共感し合う、温かい会話が生まれるようになりました。SNSのタイムラインでは分からない、その人の声のトーンや表情から伝わる気持ちを受け止められる、深い交流を取り戻せたように感じます。メッセージのやり取りも良いですが、やはり直接会って話すことの温かさには代えがたいものがあります。

自分自身の変化 スマートフォンを見る時間が減り、他人と自分を比べる機会が減ったことで、心が穏やかになりました。他人の投稿を見て焦ったり、羨ましく思ったりすることが減り、自分のペースで生活できるようになったのです。生まれた時間で、読書をしたり、昔やっていた編み物を再開したりと、自分の好きなことに没頭する時間を持てるようになり、これがさらに心の安定に繋がりました。心に余裕が生まれると、家族や友人に対しても、以前より優しく、穏やかに接することができるようになったと感じています。

完璧じゃなくて大丈夫。あなたらしいペースで

デジタルデトックスと聞くと、難しく考えがちかもしれません。しかし、私のように、完璧にデジタルを断つ必要はありません。ほんの少し、スマートフォンとの付き合い方を見直すことから始めてみるだけで、日々の生活に穏やかな時間と心の余裕が生まれ、それが自然と身近な人との関係を豊かなものにしてくれることを実感しています。

もしあなたが、「いつも時間がない」「スマートフォンに時間を取られている気がする」「昔のように人とじっくり話す時間が減った」と感じているのでしたら、ぜひ、あなたにとって「無理なく続けられる」小さな一歩を見つけてみてください。

例えば、

など、できることから始めてみるのです。

スマートフォンとの距離を見直すことは、何かを「我慢する」ことではなく、本当に大切な「時間」や「心の余裕」、そして「人との温かい繋がり」を取り戻すための、前向きな一歩なのだと感じています。

きっと、あなたの毎日にも、穏やかな時間と、心満たされる豊かな交流が待っているはずです。