無理なくデジタルと距離を置く。ちょっとの変化が日々の出会いを豊かにした体験談。
スマホに時間を取られ、人間関係が少し遠のいたように感じていませんか
私たちの日常生活において、スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスはなくてはならないものとなりました。とても便利で、情報収集やコミュニケーションに役立ちますが、気づけばあっという間に時間が過ぎてしまい、スマホを手放せない自分に少し疲れてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。
特に、昔からの友人との直接の交流が減ったり、家族との時間中についついスマホを見てしまったりと、身近な人間関係の質が、デジタルに費やす時間によって変わってきていると感じている方も少なくないのではないでしょうか。
デジタルとの付き合い方を見直したい、人間関係をもっと大切にしたいと感じて、一度デジタルデトックスに挑戦してみたものの、なかなか続かずに諦めてしまった、という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。完璧にデジタルから離れるのは、今の生活では難しいと感じることもあるでしょう。
この記事では、そんな経験をお持ちの方に向けて、完璧を目指すのではなく、「無理なく、ちょっとだけ」デジタルとの距離を見直す方法と、それによって私の日々の暮らしや人間関係がどのように肯定的に変化していったのか、具体的な体験談を交えてお話ししたいと思います。
完璧なデジタルデトックスよりも「ほどほど」を目指すことから
かつての私も、一時期「完全にスマホ断ちをしよう」と意気込んだことがありました。しかし、仕事の連絡や必要な調べ物もあり、すぐに挫折してしまったのです。その時、「自分には無理だ」と落ち込んだことを覚えています。
そんな経験から学んだのは、今の生活スタイルの中で、ゼロを目指すのは現実的ではないということです。それよりも、「スマホに奪われていた時間を少しだけ自分や人との関わりのために取り戻す」という、「ほどほど」の目標に変えてみました。
具体的に行ったのは、次のような小さな習慣です。
- 通知を最小限に設定する: 緊急性の低いアプリの通知はオフにしました。これにより、見る必要のない情報に引きずられることが減りました。
- 「スマホ休憩時間」を作る: 例えば、夕食の準備中はキッチンにスマホを持ち込まない、寝る1時間前からは触らない、など、意識的にスマホから離れる時間を作りました。最初は短時間から始めました。
- スマホを置く「定位置」を作る: 玄関やリビングの特定の場所にスマホを置くようにし、家にいる間は常に手元に持っている状態をやめました。
これらの方法は、どれも特別なことではありませんし、完璧に守れなくても大丈夫と自分に言い聞かせました。目標は「スマホを見る時間をゼロにすること」ではなく、「スマホがない時間も心地よく過ごせるようになること」だったからです。
ちょっとした変化が、日々の出会いを豊かにしてくれた
デジタルとの距離を少しずつ見直していく中で、いくつかの心地よい変化を感じるようになりました。特に嬉しかったのは、人との関わり方の変化です。
以前の私は、買い物のレジ待ち時間や移動中に、ついついスマホを見て時間をつぶしていました。それが習慣になっていたため、周りの景色や人になかなか目が向きませんでした。
しかし、「スマホ休憩時間」を設けるなど、少しスマホから離れる時間を増やしたことで、時間に少しゆとりが生まれ、心にも余裕ができたように感じました。すると、これまで見過ごしていた日常の小さなことに気づけるようになったのです。
例えば、近所のスーパーで顔見知りの店員さんと、短い時間でも天気の話や季節の話を交わすことが増えました。以前は、スマホを見ながら会計を済ませていたため、そういったちょっとした会話もありませんでした。何気ない会話ですが、そこに温かさを感じるようになったのです。
また、散歩中に道端で会った近所の方と立ち止まって話す時間が増えたり、地域の掲示板に貼られた催しに目が留まり、興味を持って調べて参加してみたりする気持ちが生まれました。これらは、以前ならスマホの画面に集中していて、おそらく気づかなかったであろう変化です。
もちろん、昔からの友人との連絡は大切ですが、オンライン上でのやり取りだけでなく、「今度、少しの時間でもお茶でもどう？」と直接声をかけるハードルが下がったようにも感じています。スマホから離れることで生まれた時間と心の余裕が、リアルなコミュニケーションを求める気持ちを後押ししてくれたのかもしれません。
家族との時間でも変化がありました。以前は、食卓で家族が話している最中にも、手にスマホを持っていることがありました。今は、食事中はスマホを別の部屋に置くようにしています。すると、自然と会話に集中できるようになり、家族の顔を見て話す時間が増えました。何でもない日常の出来事でも、顔を見ながら話すことで、以前よりずっと心を通わせているように感じられる瞬間が増えました。
完璧でなくても大丈夫。小さな一歩から始めてみませんか
デジタルとの「ほどよい距離」を見つける旅は、完璧を目指す必要はありません。もし一度試してうまくいかなくても、それは決して失敗ではなく、「自分にはどんな方法なら続けられそうか」を見つけるための大切な経験です。
まずは、今日からできる小さな一歩を考えてみてください。例えば、「朝起きてから15分はスマホを見ない」や、「家に帰ったら、まず30分はスマホをカバンから出さない」など、無理なく続けられそうなことから始めてみるのが良いでしょう。
デジタルとの距離を見直すことは、単にスマホから離れることだけではありません。それは、私たちの貴重な時間や心のエネルギーを、本当に大切にしたい人間関係や自分自身の生活に向けるための取り組みだと感じています。
完璧を目指さず、楽しみながら「ほどよい距離」を見つけていくことで、きっと日々の暮らしの中で、以前は見過ごしていた温かい人とのつながりや、心地よい自分自身の時間を取り戻すことができるはずです。
この記事が、あなたがデジタルとの新しい付き合い方を見つけ、日々の出会いや人間関係をより豊かなものにするための一助となれば幸いです。