関係が変わるデジタル断ち

「何となく」スマホを見るのをやめてみたら、失われた自分時間と温かい繋がりが見つかった話

Tags: デジタルデトックス, スマホ習慣, 人間関係, 自分時間, 無理なく続ける, 生活改善, 体験談

気づけばスマホ、何となく時間が過ぎていく日々

家事の合間やパートの休憩時間、ほんの少しできた隙間時間に、ついスマホを開いてしまう。特別な目的があるわけではないのに、気がつけばあっという間に時間が過ぎていた、という経験はございませんか。

私たちの年代になりますと、昔からの友人とはLINEで繋がっていても、以前のように顔を合わせてゆっくり話す機会は減ったように感じられるかもしれません。家族がすぐそばにいても、それぞれが自分のスマホを見ている、という光景も珍しくないでしょう。

便利なはずのデジタル機器が、いつの間にか私たちの貴重な時間や、大切な人との直接的な触れ合いの時間を奪っているのではないか。そんな漠然とした不安を感じつつも、どうすれば良いのか分からない。あるいは、一度デジタルデトックスを試みてみたものの、なかなか続かず諦めてしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。

本日は、「何となくスマホを見てしまう」という習慣に少し変化をつけることで、私の生活や人間関係がどのように変わったのか、そして、私と同じように「無理なく続けたい」と感じている方に向けて、実践しやすいヒントをお話しさせていただきます。

「何となく」が奪っていたもの

私は以前、まさに「何となくスマホを開いてしまう」人間でした。朝起きてすぐ、食事の準備中、パートの休憩時間、夕食後、寝る前。特に急ぎの連絡があるわけでもないのに、手持ち無沙汰になると自然とスマホを手に取っていました。

最初はほんの数分のつもりが、SNSのタイムラインを追ったり、おすすめの記事を読んだりしているうちに、気づけば30分、1時間と経っているのです。その結果、どうなったかというと、まず「自分の時間」が圧倒的に減りました。昔は好きだった読書をする時間も、ゆっくりお茶を淹れて庭を眺める時間も、いつの間にかスマホに置き換わっていました。

さらに、身近な人間関係にも影響が出ていました。パート先の休憩時間には、以前なら同僚とおしゃべりを楽しんでいたのですが、いつからか皆がスマホを見ているようになり、私自身もその流れに乗っていました。家族との時間も同様です。リビングで一緒に過ごしていても、互いのスマホの画面を見ている時間の方が長い、という状況でした。

表面上は繋がっているように見えても、心から満たされるような深い繋がりや、自分の内面と向き合う時間が失われていることに、うっすらとですが気づき始めていたのです。

完璧を目指さない「ゆるやかな」デジタルデトックス

このままではいけない、と思い立ち、意を決して「デジタルデトックス」を試みた時期もありました。しかし、「1日スマホ断ち」のような極端な方法では、かえって落ち着かなくなり、すぐに挫折してしまいました。「やっぱり私には無理なのかしら」と、落ち込んだ経験もございます。

そんな私が「何となくスマホ」の習慣を見直すために始めたのは、完璧を目指さない、ごく小さな工夫でした。

まず、「何となく」スマホを開きそうになるタイミングを意識することから始めました。例えば、「家事の区切りがついた時」や「椅子に腰かけた時」などです。そして、その「何となく」を、別の行動に置き換えるリストを作りました。リストと言っても、大げさなものではありません。「お茶を淹れる」「窓を開けて深呼吸する」「好きな雑誌をパラパラめくる」「ストレッチをする」など、すぐにできる簡単なことです。

また、スマホをいつも手元に置かないようにしました。リビングではカバンの中に入れっぱなしにする、寝室には持ち込まない、充電は家族の共有スペースで行う、など、物理的に距離を置く工夫です。音が鳴ると気になってしまうため、ほとんどの通知をオフに設定しました。

そして何より大切にしたのは、「できなかった日があっても気にしない」という心持ちです。私たちはプロフェッショナルではありませんから、完璧を目指す必要はありません。今日はスマホを見てしまったけれど、明日は少しだけ気をつけよう、という程度で十分なのです。無理なく、自分のペースで続けることが、一番の成功の秘訣だと感じています。

小さな変化が連れてきた豊かな時間と温かい繋がり

このような「ゆるやかな」デジタルデトックスを続けていくうちに、私の日常には少しずつ変化が現れ始めました。

最も大きく感じたのは、「自分の時間」が戻ってきたことです。何となくスマホを見ていた時間が減ったことで、以前から積読になっていた本を読む余裕が生まれました。パートから帰宅してからも、すぐにスマホに手を伸ばすのではなく、まずは自分自身のために、少しの時間ですが好きな音楽を聴いたり、趣味の手芸に没頭したりできるようになりました。自分の心が満たされる時間を持つことは、想像以上に穏やかで、日々の活力に繋がるのだと実感いたしました。

また、人間関係にも嬉しい変化がありました。パートの休憩時間には、スマホを見る代わりに同僚と世間話をするようになりました。最初はぎこちなかった会話も、回数を重ねるうちに、お互いの家族のことや日々の出来事を気軽に話せるようになり、休憩時間が心温まる交流の場へと変わりました。スマホを見ていた時には気づけなかった、相手のちょっとした表情の変化や声のトーンから、より深く相手を理解できるようになったように感じます。

家庭でも、食事中にスマホを食卓に持ち込まないルールを緩やかに設けたことで、家族との会話が増えました。子供たちの学校での出来事や、夫の仕事の話など、以前なら聞き流していたようなことにも耳を傾けられる心の余裕が生まれ、家族間のコミュニケーションが円滑になったように感じます。スマホ越しではない、目の前にいる大切な人との実際の触れ合いが、何よりも心を豊かに満たしてくれるのだと、改めて気づかされました。

友人との関係においても、LINEでのやり取りだけでなく、「今度お茶しない?」と気軽に誘えるフットワークの軽さが戻ってきたように感じます。実際に会って話す時間は、画面上の文字情報だけでは得られない、温かい感情や共感に満ちていました。

あなたにとって心地よい距離を見つける旅へ

デジタルデトックスは、何かを「我慢する」苦行ではありません。それは、自分が本当に大切にしたい時間や、心満たされる人間関係を「取り戻す」ための、自分自身へのプレゼントのようなものだと私は感じています。

もしあなたが今、「何となくスマホを見てしまう」習慣に悩んでいたり、デジタルデトックスに挑戦して挫折した経験があったりしても、どうぞご自分を責めないでください。そして、完璧を目指さず、まずは小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。

今日、ほんの10分だけでもスマホから離れてみる。休憩時間に同僚に話しかけてみる。夕食中にスマホをテーブルの端に置いてみる。そんな些細な変化が、あなたの失われていた自分時間を取り戻し、身近な人との温かい繋がりを再発見するきっかけになるかもしれません。

デジタル機器は私たちの生活を豊かにしてくれる素晴らしいツールです。大切なのは、それに振り回されるのではなく、あなたが心地よいと感じる距離感を見つけることです。この小さな挑戦が、あなたの日常に穏やかな時間と豊かな人間関係をもたらすことを願っております。