眠る前のスマホを手放したら、家族の温かい声と穏やかな自分を取り戻せた話
夜、ホッと一息ついた時間に、何気なく手に取るスマートフォン。ニュースアプリを眺めたり、SNSをチェックしたり、ネットショッピングを見たり…。気づけばあっという間に時間が過ぎてしまい、慌てて寝る準備をする、という日々を送っていませんか。
かつては、家族とゆっくりおしゃべりしたり、静かに本を読んだりして過ごしていたはずの夜の時間が、いつの間にかスマホに取って代わられてしまった。身近な人との会話が減り、なんとなく満たされない気持ちを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。私も、そんな一人でした。
この習慣を見直したいと思い、デジタルデトックスに挑戦したものの、なかなか続かなかった経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。完璧にスマホから離れるのは難しいと感じるかもしれません。しかし、少しずつ、無理のない範囲で「夜のスマホ時間」との距離を見直すことで、自分自身の心や、大切な人との関係に温かい変化が生まれることがあります。
今回は、私が眠る前のスマホ習慣を変えてみたことで感じた変化と、そのために工夫した無理のない方法についてお話ししたいと思います。
以前の私:夜はスマホが手放せなかった
数年前まで、私の夜はスマートフォンと共にありました。夕食後、片付けが終わるとソファに座り、すぐにスマホを開くのが習慣になっていたのです。友人や知人の投稿に「いいね」をつけたり、送られてきたメッセージに返信したり。面白そうな記事を見つけると、ついつい読みふけってしまい、気がつけば深夜近くになっていることも珍しくありませんでした。
ベッドに入ってからも、すぐに眠りにつくのではなく、またスマホを開いてしまう。ブルーライトのせいか目が冴えてしまい、寝つきが悪くなることもありました。
何よりも気になっていたのは、家族との時間です。同じリビングにいても、夫やもう独立した子供たちが帰ってきた時も、私はスマホを見ていることが多かったのです。会話も、必要最低限の用事だけになりがちで、「今日はどんな一日だった?」といった、心を通わせるようなやり取りはほとんどありませんでした。
昔からの友人との付き合いも、LINEでのやり取りは増えましたが、実際に会ってゆっくり話す機会は減っていました。スマホで「繋がっている」はずなのに、どこか心が満たされない、寂しいような感覚があったのです。このままではいけない、と感じ始めていました。
無理なく始めた「夜のスマホ時間」の見直し
過去に一度、勢いで「スマホ断ち」を試みたことがありましたが、すぐに挫折してしまいました。通知が気になったり、手持ち無沙汰になったりして、結局すぐにスマホに戻ってしまったのです。その経験から、今回は「完璧にやめる」のではなく、「無理なく、できることから」始めることにしました。
まず試したのは、「寝室にスマホを持ち込まない」というルールです。充電器はリビングに置くことにしました。これにより、ベッドに入ってからダラダラとスマホを見てしまうことを物理的に防ぐことができました。
次に、「寝る時間の30分前からはスマホを見ない」と決めました。最初は30分でも長く感じましたが、徐々に慣れていきました。この時間を、軽い読書や、日記をつける時間にあててみました。
さらに、「リビングにいる時は、意識的にスマホを近くに置かない」ようにしました。ポケットや、すぐに手の届く場所ではなく、少し離れたテーブルに置くようにしたのです。これにより、反射的にスマホに手が伸びる回数が減りました。
これらのルールは、最初から完璧に守れたわけではありません。うっかり寝室に持って入ってしまったり、つい時間ギリギリまで見てしまったりすることも多々ありました。でも、そんな時は自分を責めず、「まあ、今日は失敗したけど、明日また意識してみよう」と軽い気持ちで続けるように心がけました。以前失敗した経験があったからこそ、「完璧でなくて大丈夫」と思えたのかもしれません。
夜のスマホを手放してみて起きた温かい変化
この小さな工夫を続けるうちに、いくつかの良い変化を感じるようになりました。
まず、睡眠の質が少し改善されたように感じます。寝室にスマホを持ち込まなくなったことで、ベッドに入ると自然と眠りに入る準備ができるようになりました。以前のように目が冴えて寝付けない、ということが減り、朝も比較的スッキリ起きられる日が増えました。
そして何よりも嬉しかったのは、家族との会話が増えたことです。リビングでスマホを見る時間が減ったことで、自然と家族の方に目が向くようになり、「今日パートでこんなことがあってね」「テレビでこんなこと言ってたわよ」など、本当に些細なことでも話せるようになりました。夫も、私がスマホを見ていない時間が増えたことを感じ取ったのか、以前より話しかけてくれるようになった気がします。当たり前のことかもしれませんが、家族の「温かい声」を聞きながら過ごす夜の時間は、私にとってかけがえのないものだと再認識しました。
また、スマホから離れることで、自分自身の心が穏やかになったと感じています。夜、静かな時間を過ごすことで、一日の出来事をゆっくり振り返ったり、自分の気持ちと向き合ったりする余裕が生まれました。SNSで他人の生活と自分を比べて落ち込んだり、ネットニュースのネガティブな情報に心がザワついたりすることが減り、穏やかな気持ちで眠りにつける日が増えたのです。
この心の余裕は、不思議なことに他の人間関係にも良い影響を与えました。友人からのLINEにすぐに返信できない時も、「後で落ち着いて返信しよう」と焦らずに対応できるようになりました。実際に友人たちと会って話す時も、スマホに気を取られることなく、相手の話にじっくり耳を傾けられるようになり、以前より会話が深まったように感じています。
無理なく続けるためのヒント
夜のスマホ時間を少し見直すことで、私自身と家族との関係に温かい変化が生まれました。もしあなたが、かつての私のように「スマホに時間を取られている」「人間関係が希薄になった気がする」と感じているなら、ぜひ試してみていただきたい方法です。
最後に、無理なく継続するためのヒントをいくつかお伝えします。
- 小さな一歩から始める: 最初から「全く見ない」とするのではなく、「寝室に持ち込まない」「〇時以降は見ない」など、できる範囲の小さなルールから始めてみましょう。
- 「代わりにすること」を見つける: スマホを見ていた時間で何をしたいか、あらかじめ決めておくと、手持ち無沙汰になりにくいです。読書、音楽鑑賞、軽い家事、ストレッチなど、自分が心地よいと感じる時間にあててみてください。
- 目的を思い出す: なぜ夜のスマホ時間を減らしたいのか、その目的(例:家族との時間を大切にしたい、質の良い睡眠をとりたい、心を穏やかにしたい)を忘れないようにしましょう。
- 完璧を目指さない: 失敗しても大丈夫です。自分を責めず、また明日から頑張ろう、という気持ちで取り組みましょう。継続することが大切です。
まとめ
眠る前のスマートフォンとの距離を見直すことは、大げさなデジタルデトックスではなく、日々の暮らしの中に穏やかな時間と温かい人間関係を取り戻すための、小さくても大切な一歩です。
かつて私がそうであったように、スマホに奪われていた時間は、実は自分自身の心と向き合う時間であり、身近な大切な人たちと心を通わせる時間であったことに気づかされます。
焦る必要はありません。あなた自身のペースで、できることから始めてみてください。夜の静かな時間、あなたの心が穏やかになり、大切な人の温かい声が心地よく響くことを願っています。