関係が変わるデジタル断ち

スマホを置く小さな習慣が、昔の友人とのリアルな繋がりを深めた体験談

Tags: デジタルデトックス, 人間関係, 友人関係, 習慣化, 体験談

スマホに追われる日々、昔の友達とはLINEだけになっていませんか?

日々の暮らしの中で、気がつけばスマホを手に取っている時間が増えていませんでしょうか。パートの休憩時間、家事が一段落したとき、眠りにつく前。少しのつもりが、あっという間に時間が過ぎている。そんな経験は、多くの方が感じていることかもしれません。

特に、昔からの友人との連絡は、もっぱらLINEなどのメッセージアプリで済ませてしまうことが増え、「元気?」の一言で会話が終わってしまったり、スタンプ一つで済ませてしまったり。忙しい日々の中で手軽に繋がれることは便利ですが、かつてのように直接会って、顔を見ながらゆっくり語り合う機会は、めっきり減ってしまったと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「このままでは、大切な友人との関係が希薄になってしまうのでは」といった漠然とした不安を抱えつつも、何をどうすれば良いのか分からず、時間だけが過ぎていく。あるいは、一度デジタルデトックスを試みたものの、長続きしなかったという経験をお持ちかもしれません。

本日は、そのような状況から、ほんの少しデジタルとの向き合い方を変えることで、昔からの友人との繋がりが再び温かいものになった体験談と、無理なく続けられる「小さな習慣」についてお話ししたいと思います。

完璧を目指さないデジタルとの距離感

デジタルデトックスと聞くと、「スマホを一切触らない」「SNSのアカウントを全て消す」といった極端なイメージをお持ちかもしれません。しかし、多くの方にとって、それは現実的ではありませんし、継続することも難しいでしょう。特に、一度挫折した経験がある方は、「どうせ今回も無理だろう」と最初から諦めてしまうかもしれません。

大切なのは、完璧を目指すことではなく、「無理なく、小さな一歩から始める」ことです。デジタルとの付き合い方を見直す目的は、デジタルを完全に排除することではなく、デジタルに支配される時間を減らし、自分の時間や、身近な人との繋がりを大切にすることにあります。

私自身も、以前はスマホを見ることが習慣になり、気がつけば時間だけが過ぎていることに悩んでいました。人間関係も、手軽なメッセージのやり取りで満足してしまい、友人からの「今度お茶でもどう?」といった誘いにも、「また今度ね」と返事をしては、ずるずると先延ばしにしてしまうことが増えていました。

そこで、思い切って「デジタルを完全に断つ」のではなく、「デジタルと少し距離を置く小さな習慣」を取り入れてみることにしたのです。

「スマホを置く」小さな習慣が生んだ変化

私がまず始めたのは、非常にシンプルなことでした。

これだけです。もちろん、仕事や急な連絡がある場合は例外としました。最初は「本当にこれだけで変わるのだろうか」と半信半疑でしたし、つい手が伸びてしまうこともありました。しかし、「完璧じゃなくて良い。昨日はできなかったけど、今日は意識してみよう」と、自分を責めずに続けました。

数週間続けるうちに、思わぬ変化が起きてきました。

まず、スマホを見ていたはずの時間が「余白」として生まれるようになったのです。その時間で、読みたかった本を数ページ読んだり、温かい飲み物をゆっくり味わったり、あるいはただぼんやりと窓の外を眺めたり。心の中に、少しずつ穏やかな時間が流れるのを感じました。

そして、この心の余裕が、かつておろそかにしていた人間関係に目を向けさせてくれたのです。

温かい「会いたい」の気持ちが再燃

スマホから少し距離を置くことで生まれた時間の中で、ふと、昔の友人たちの顔が思い浮かぶようになりました。LINEのアイコンではなく、実際に会って話した時の笑顔や声。メッセージの短いやり取りでは伝わらない、その人が持つ温かさや、共に過ごした楽しい記憶が鮮明に蘇ってきたのです。

「そういえば、最近あの人どうしているかな」「最後にゆっくり話したのはいつだっただろう」

そんな思いが募り、いてもたってもいられなくなりました。スマホを手に取り、LINEの連絡先を開こうかとも思いましたが、ふと立ち止まりました。いつもと同じようにメッセージを送るのではなく、別の方法で気持ちを伝えてみようと考えたのです。

勇気を出して、昔よく電話で長話をした友人に、久しぶりに電話をかけてみました。少し緊張しましたが、電話口から聞こえてきた懐かしい声に、心が安らぐのを感じました。LINEのメッセージでは文字だけですが、声のトーンや話し方で、相手の今の様子や気持ちが驚くほど伝わってきます。

また、別の友人には、手紙を書いてみることにしました。便箋を選び、万年筆でゆっくりと文字を綴る時間。スマホの画面をスクロールするのとは全く違う、丁寧で穏やかな時間でした。手紙を受け取った友人から、後日、温かい気持ちになったという電話をもらい、心がじんわりと温かくなりました。

再会で深まるリアルな繋がり

電話や手紙でのやり取りを重ねるうちに、自然と「今度会ってお話ししませんか?」という流れになりました。久しぶりに会うのは少し照れくさくもありましたが、カフェで向き合って話し始めた途端、あっという間に時間が過ぎていきました。

スマホの画面越しでは分からなかった、相手の表情の変化や、声の抑揚。他愛もない話で一緒に笑い合ったり、悩みを聞いてもらったり。LINEのスタンプでは決して味わえない、心が通い合う感覚がありました。デジタルでの繋がりも便利ですが、やはり直接会って話すことには、特別な温かさと深みがあるのだと改めて実感しました。

一度再会してからは、不思議と次に会う約束もスムーズにできるようになりました。以前は「また今度ね」と曖昧にしていたのが、「〇日の午後なら大丈夫そうよ」と具体的に話が進むようになったのです。これはきっと、スマホから少し距離を置くことで心に余裕ができ、人間関係に積極的に関わろうという気持ちが自然と芽生えたからだと思います。

失敗しても大丈夫。小さな一歩を続けましょう

私の体験談は、デジタルデトックスで劇的に人生が変わった、というような大げさな話ではありません。ただ、スマホを置くという「小さな習慣」を取り入れたことで、自分自身の時間を取り戻し、その心の余裕が、おろそかになっていた人間関係、特に昔からの友人との繋がりを見直すきっかけになったというお話です。

もし、あなたが過去にデジタルデトックスに挑戦して続かなかった経験があるとしても、どうかご自身を責めないでください。完璧を目指す必要はありません。今日から、寝る前の1時間だけスマホを見ない、食事中はスマホを触らない、など、できることから一つだけ始めてみてください。

そして、もし「昔の友人に会いたいな」と思ったら、勇気を出して電話をかけてみたり、手紙を書いてみたりするのも良いかもしれません。デジタルではない方法で連絡を取るという行為自体が、デジタルとの距離を見直す一歩になりますし、相手にもきっと温かい気持ちが伝わるはずです。

スマホとの付き合い方を見直すことは、自分自身の時間を取り戻すだけでなく、あなたの周りの大切な人たちとの繋がりをより温かく、豊かなものにしてくれる可能性があります。無理なく、あなたのペースで、小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。その小さな習慣が、きっとあなたの人間関係に心地よい変化をもたらしてくれるはずです。