スマホとの距離を見直したら、食卓に温かい会話が戻ってきた体験談
気づけばスマホばかり…家族との時間がすり抜けていく感覚はありませんか?
私たち50代、子育てが一段落し、自分の時間が増える一方で、スマートフォンの存在がどんどん大きくなっていると感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。私もその一人でした。パートから帰宅すると、つい手が伸びるスマートフォン。家事をしながら、休憩時間に、そして家族が同じ空間にいても、画面を見ている時間が少なくありませんでした。
昔は、夕食の準備を手伝ってくれた子どもたちと他愛もない話をしたり、夫とその日にあった出来事をじっくり話したりする時間が自然とありました。しかし、いつからか、食卓でもリビングでも、それぞれがスマホを手にしている光景が増えていったのです。もちろん、必要な連絡や情報収集は大切です。ですが、画面の中の情報に夢中になるあまり、目の前にいる大切な家族との「今」の時間を置き去りにしてしまっているのではないか、という漠然とした不安を感じていました。
「スマホに時間を取られすぎている」「このままだと、家族との心が離れていってしまうのではないか」そんな思いを抱えつつも、どのようにスマホとの付き合い方を変えれば良いのか分からず、時間だけが過ぎていきました。実は以前、デジタルデトックスに挑戦したことがあるのですが、「1週間スマホ断ち!」といった極端な方法を選んでしまい、すぐに挫折してしまった経験があります。「やっぱり自分には無理なんだ」と諦めかけていたのです。
「完璧」を目指さない。無理なく始めた小さな変化
そんな私が再びスマホとの付き合い方を見直そうと思ったのは、ある雨の日の夕食時のことでした。その日、夫が仕事で大変なことがあったらしく、いつもより元気がない様子でした。私はすぐに気づいたのですが、夫は何も言わず、ただ黙って食事をしていました。もし私がスマホを見ていなかったら、もっと早く異変に気づき、「どうしたの?」と声をかけられたかもしれない。そう思ったとき、胸が締め付けられるような気持ちになったのです。
この出来事をきっかけに、「今度こそ、無理のない範囲でスマホとの距離を見直してみよう」と心に決めました。「完璧なデジタルデトックス」ではなく、「少しだけスマホから離れる時間を作る」というゆるやかな目標にしたのが良かったのかもしれません。
具体的に始めたのは、ごく簡単なことです。
- 夕食時はスマホを食卓に持ち込まない
- 寝る1時間前からは、意識的にスマホを触らないようにする
- 用事がなくても頻繁にSNSをチェックする癖をやめる
これだけです。「〇時間触らない」というルールに縛られるのではなく、「この時間だけはスマホから離れよう」と決める方が、私には合っていました。最初はやはり、少し手持ち無沙汰な感じもしました。通知が気になったり、つい他の人の投稿を見たくなったりすることも正直ありました。でも、「ダメだ」と自分を責めるのではなく、「また気づいたら離れればいいわ」と軽く考えるようにしたのです。一度失敗した経験があるからこそ、自分に優しく接することができたのかもしれません。
食卓に会話が戻り、家族の些細な変化に気づけるように
この小さな取り組みを続けていくうちに、驚くほど日常が変わってきたのです。最も顕著な変化は、夕食時の家族との会話が増えたことです。
以前は、家族それぞれがスマホを見ていたり、テレビを漫然と見ていたりして、会話が途切れがちでした。それが、私がスマホを置いて会話を促すことで、夫がその日の出来事を話してくれたり、離れて暮らす子どもの話で盛り上がったりする時間が増えたのです。画面越しではない、温かい声での会話が、食卓に戻ってきました。
また、寝る前の時間をスマホから離したことで、夫と布団に入ってから、その日のことや明日の予定について少しだけ話すゆとりが生まれました。他愛もないことですが、こうした積み重ねが、夫婦間の安心感や信頼感を深めてくれるように感じています。
さらに、スマホを見ている時間を減らしたことで、家族の小さな変化や、普段見落としていた日常の風景にも目が向くようになりました。夫の表情の変化に早く気づけたり、食卓に置いた花が綺麗に咲いていることに気づけたり。こうした些細な発見が、心を豊かにしてくれることを実感しています。
デジタルデトックスというと、何か特別なことをしなければならないように感じるかもしれませんが、私のように「無理なく、少しずつ」で良いのです。完璧を目指さず、まずは「この時間だけはスマホを置く」という小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
スマホから少し距離を置くことで生まれた時間や心の余裕は、必ずあなたの目の前にいる大切な人たちとの関係を、より温かく、より豊かなものにしてくれるはずです。かつて私が感じていたような、家族との時間がすり抜けていく不安は、今では感謝と安心感に変わりました。あなたの日常にも、温かい会話が戻ってくることを願っております。