スマホを置く「余白の時間」を持ってみたら、人との繋がりが心地よく深まった話
いつも手元にあるスマホが、大切な人との間に壁を作っているように感じていませんか？
「ちょっと休憩」「家事が一段落したから」と、つい手にしてしまうスマートフォン。気づけばあっという間に時間が過ぎていて、何だか疲れてしまった。そんな経験はございませんか。
パートに出かけたり、日々の家事をこなしたりと忙しい合間に、スマホは手軽な息抜きであり、情報収集のツールでもあります。しかし、同時に「またこんなに時間を使ってしまった」という後悔や、もっと大切なことに時間を使えていないのでは、という悩みにつながることも少なくありません。
特に、昔からの友人との連絡はもっぱらメッセージアプリになり、直接会って話す機会が減ったり、家族が話しかけてくれても「ちょっと待っててね」と画面から目が離せなかったり。便利なはずのデジタルツールが、かえって人との心の距離を生んでしまっているのではないか、と感じることはないでしょうか。
「デジタルデトックスを試したことはあるけれど、数日で挫折してしまった」「完全にスマホを見ないようにするのは無理」と感じていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。真面目な方ほど、「やらなくては」と気負ってしまい、うまくいかなかった時に落ち込んでしまうこともあります。
このサイトでは、私たちと同じようにデジタルツールとの付き合い方に悩んだ方々が、どのようにして無理なく心地よい距離を見つけ、それが人間関係にどのような温かい変化をもたらしたのか、その体験談を共有しています。今回は、少しスマホから離れる「余白の時間」を作ることで、日々の繋がりが豊かになったと感じている方のお話をご紹介いたします。
「スキマ時間＝スマホ時間」だった日々に小さな変化を
私の毎日は、朝起きてから夜寝るまで、常にスマホが近くにある生活でした。家事の合間、パートの休憩時間、テレビを見ながら、つい「ポチッ」と画面を開いてしまうのです。友人からのメッセージにすぐに返信しないと、と常に気を張っているようなところもありました。
そんな日々の中で、ふと気づいたのは、心にゆとりがなくなっているということでした。常に新しい情報や他人の状況が目に入り、焦燥感を感じたり、他と比べて落ち込んだりすることも。そして、何よりも気になったのは、隣にいる家族や、たまに連絡を取り合う友人との「質の高い時間」が減っている感覚でした。
メッセージのやり取りは頻繁にあっても、昔のように電話で長話したり、ゆっくりお茶を飲みながら語り合ったりする機会はめっきり減りました。家族との食卓でも、誰かがスマホを手にしている時間が増え、会話が途切れがちになったのです。
この状況を変えたい、でもスマホを完全に断つのは無理。そう考えて、以前デジタルデトックスに挫折した経験があった私は、「完璧を目指さない」と心に決め、まずはほんの小さな「余白の時間」を作ることから始めてみることにしたのです。
無理なく続けられた、私なりの「余白」の作り方
以前の私は、「寝る前は絶対スマホを見ない！」のように、厳しいルールを作って失敗しました。今回はそうではなく、「これならできそう」と思えることから始めました。
- 特定の短い時間だけスマホを触らない 例えば、「朝食を食べる間だけはテーブルにスマホを持っていかない」「パートの休憩時間の最初の5分は窓の外を眺めるか、軽くストレッチをする」「夕食後、片付けが終わってから最初の15分は温かい飲み物を飲みながら何も見ずにぼうっとする」。このように、ごく短い、具体的な時間を設定しました。
- 通知をオフにする 全ての通知をオフにするのは不安だったので、特に頻繁に来ていて、見始めると止まらなくなるようなアプリ（私にとってはSNSやいくつかのニュースアプリでした）だけ、通知をオフにしました。
- スマホの充電場所を変える 寝室に充電器を置くのをやめ、リビングの少し離れた場所に移動しました。これにより、寝る前に「つい」手にする機会が減りました。
これらは本当に小さな変化です。最初のうちは、手が寂しく感じたり、何だか落ち着かない気持ちになったりもしました。しかし、「完璧じゃなくていい」という気持ちで、できた日を褒めてあげるように続けました。できなかった日も、「まあ、今日はこんな日もあるさ」と軽く受け流しました。
「余白」がもたらした心の変化と、温かい繋がり
小さな「余白の時間」を意識的に作るようになって、まず感じたのは、心に少しだけ余裕が生まれたことです。常に何かに「繋がっている」状態から離れることで、頭の中が少し整理されるような感覚がありました。短い時間でも、ぼーっとしたり、目の前のことに集中したりすることで、気持ちがリフレッシュされるのを感じたのです。
そして、この心の余裕が、人間関係に良い影響を与え始めたことに気づきました。
- 家族との会話が増えた 特に夕食後の「余白の時間」を持つようにしてから、家族が話しかけてくれやすくなったと感じます。私がスマホを見ていないことで、家族も安心して話しかけてくれるようになり、何気ない日常の出来事や、それぞれが考えていることなどを話す時間が増えました。夫や子供たちの表情をゆっくり見る時間も生まれました。
- 友人との連絡が変わった 以前はメッセージのラリーに終始しがちでしたが、通知をオフにしてスマホを見る時間をコントロールできるようになったことで、本当に連絡を取りたい友人には、メッセージだけでなく、「今、少し時間があるから電話してみようかな」と思えるようになりました。久しぶりに声を聞いて話すことで、メッセージだけでは伝わらない温かさや安心感を感じ、心の距離がぐっと縮まるのを感じました。また、「短い時間でも良いから、直接会ってお茶でも飲まない？」と気軽に誘える心のゆとりも生まれました。
- 自分自身との向き合い方が変わった スマホを見ていない時間で、自分の好きなこと（私の場合、昔好きだった読書や手芸です）に少しずつ時間を使えるようになりました。これにより、自分自身の機嫌を自分で取れるようになり、その穏やかな気持ちが、周囲の人にも自然と伝わるようになった気がします。笑顔が増えたね、と言われることもありました。
まとめ：完璧ではなく、心地よい距離感を求めて
私の体験からお伝えしたいのは、デジタルデトックスは「全てのデジタルを断つ」というストイックなものである必要はない、ということです。特に私たち世代にとっては、スマホは生活に欠かせない便利なツールです。大切なのは、スマホに振り回されるのではなく、自分にとって心地よい、バランスの取れた付き合い方を見つけることではないでしょうか。
今回ご紹介したような「余白の時間」を作る小さな工夫は、すぐに始められることばかりです。たとえ短時間でも、意識的にスマホから離れる時間を持つことで、心に余裕が生まれ、その余裕が、日々の大切な人との繋がりをより温かく、豊かなものに変えていく可能性を秘めていると感じています。
もし、過去にデジタルデトックスに失敗した経験があっても、ご自身を責める必要は全くありません。完璧を目指さず、「これならできそう」という小さな一歩から、あなたにとっての心地よいデジタルとの距離感を見つけてみてください。そして、その先に待っている、大切な人との温かい時間の変化を、ぜひ感じていただければ幸いです。